キスフレ2nd kiss Vol.27

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会場の中は、笑い声や、陽気な音楽が響いて耳が痛いほどだったのに。 一歩外へと出ると、無音だった。 ペイズリー柄のじゅうたんがはめ込まれた床を駈けても靴音は立たない。 ふと、ガラス張りの壁へと視線を向けると、 見事な春を演出した庭園に気づいた。 淡い桃色のサクラの木は、 全ての枝に淡雪を積もらせたかのようだ。 誘われるようにして、桜を閉じ込めた壁へと近づく。 「佐藤舞さんだね?」 と、凛とした響きのある声へと振り向いた。 真っ直ぐな鷲鼻に、吊り上がったネコのような瞳の男を見上げた。 小栗よりもずっと高い場所から私を見下ろしている。
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