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「家に入れて下さい」
「ダメだ」
鍵穴に鍵を差し込みながら、ジロリと男を牽制する。
家に入るだって?
こいつは頭がおかしいのか?
何故会ったばかりの名前も知らないような男を、家に入れなければならない?
そんな考えを読み取ったのか、男はにこりと笑顔を浮かべて俺を見る。
「僕はロイクです。飼い主にそう呼ばれていました」
「…………付き合ってられん」
ガチャリと扉を開け、そのまま中に入り閉めようとする。
このまま締め出せばきっと、諦めて自分の家に帰るだろう。
そう思った瞬間、男の手が扉をガッとつかんだ。
「ーーっおい!?」
「お邪魔します!」
閉じようとしていた扉を強引に開けられ、完全に力負けした俺はつんのめりそうな体を何とか堪えた。
この男。
身長も俺より随分と高いが、力が馬鹿みたいに強い。
呆気なく俺の領土へ侵入を果たした男が、嬉しそうに鼻歌を歌いながらキョロキョロと部屋を見渡している。
不法侵入だろう?
いや、強盗か?
犯罪だぞ?
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