奇妙な同棲生活

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「体調もすっかり良くなられましたね、理事長」 「ああ」 理事長室でいつものように書類整理をしていると、月夜野が艶やかな薄い笑みを浮かべながら温かいお茶を差し出して来る。 それを一口飲んだ後、小さく息を吐いて背筋を軽く伸ばした。 風邪は完全に治った。 というか、最近体調がすこぶる良い。 あの化け猫が勝手に用意する朝食のおかげだろうか? 今までずっと学園近くの店でサンドイッチやらホットドッグなどを買い済ませていたので、 ああやって一汁三菜の和食を朝から食べることなど初めてだった。 「お顔の色艶もとてもよろしいですし、新しく何か始められたのですか?」 色艶。 それは、食事で付いたもの? それとも…… ふとあの濃厚なキスを思い出し、バツが悪くなって視線を落とした。 「別に何もない…………ただ……」 「ただ?」 先を促すように鋭いその目で見つめられ、また小さく息を吐き出してから万年筆を手に取った。 「ただ、猫を飼い始めただけだ」 おかしな猫を。 キスが上手くて。 誘惑めいた言葉ばかり吐き出す猫、を。
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