数奇な運命

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雨が降っていた。 一週間ぶりに降る雨は地面に強く打ちつき、傘を差していても濡れてしまいそうだった。 「ーーーーなに、これ」 目の前の椅子に座る男は、予想通りさも不満そうな目付きで机に積まれた台紙に目をやる。 「見合い写真だ」 抑揚のない声でそう返すと、冷え切ったその目が刺すようにこちらを見た。 「…………言ったでしょう?俺はあの人を探してる。あの人以外には微塵も興味がないんだよ」 「愛だの恋だのにうつつを抜かしている暇があったら、早く身を固めろ。家の役に立て、冬也」 こちらの言葉がよほど気に食わなかったのか、 冷え切ったその目の中では燃えるような怒りが漂っている。 「この人でなし。あんたは二言目には家の役に立て、だな。それって本当に必要な事だと思ってる?」 「何を馬鹿な。当たり前だろう?織部家に生まれた人間ならば役に立つ働きをするのが当然だ」 一体何度この言葉を交わしただろうか。 どこまでもいっても、俺たちの話は全く噛み合わない。 なぜこちらの言う言葉を冬也が理解出来ないのか、それが不思議でならなかった。 同じ織部の家に生まれた人間とは思えない。 正反対な性格の俺たちは、どこまで行っても平行線だ。
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