初めて

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「意味は……ない?」 信じられないといった目で、ロイクが刺すように俺を見つめる。 「意味は、ない?キスに意味はないって言うの、氷刀さん?」 伸びて来たロイクの両手が力強く俺の肩をつかむ。 鬼気迫ったその様子に違和感を感じながらも、俺はロイクに触れられたという事実だけに思いを馳せていた。 こうしてロイクに触れられる事も、もうなくなってしまう。 きっと今日が最後だ。 明日日本に帰れば、俺の世界から完全にロイクが消え去ってしまう。 それを考えると、辛くて苦しくて、泣きたくなって来る。 どうしてこの感情は、こんなにもタチが悪いんだろう。 好きだというだけで。 この世の終わりさえ、見えてしまうなんて。 「っ……~~~~ッ…………じゃあ、いま俺がキスをしても、意味はないんだよね?」 辛そうに吐き出したロイクの言葉に、一瞬思考が遮断される。 ロイクが俺に、キスをする? いま? 「ーーーー、」 答えるよりも先に触れた唇から、一瞬にして俺の心は弾け飛んだ。
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