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赤髪の少女は少しだけ押し黙るも、観念したかのようにお腹に回していた両手を挙げる。
髪の方こそ長めで肩に掛かっているが、胸の膨らみは黒髪の少女と違って気持ち程度しかない。
一見、細身にみえる少女ではあったが下腹部だけが不自然にポッコリ少しだけ膨らんでいた。
「何か言うことがあるなら聞いてあげるけど?」
「そろそろ隠しきれないかな…三ヶ月目に入ったとこ。」
お腹の膨らみについて尋ねられた赤髪の少女は母性に溢れた表情でお腹を撫でながら事情を説明する。
「何が…三ヶ月目に入ったところだぁぁ、バカ娘ぇぇぇッ!!」
先程までの冷ややか表情を憤怒に変えて、黒髪の少女は硬く握った鉄拳を腹部に向けて打ち込んだ。
途端に少女の腹部からはボトボトと幾つかのパンが零れ落ちて足元に散乱してしまう。
「て…てへ。」
赤髪の少女は自分に出来るだけの可愛げに溢れた表情で笑ってみせるも火に油を注いだようだ。
「依頼人から安易にモノを貰うなって…いつもあれほど言ってるでしょうがぁぁぁーー!!」
獣王の咆哮と聴き違えるかのような怒号が、黒髪の少女から放たれて辺り一面の喧騒を吹き飛ばした。
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