第1章 People having a tail

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  「やっぱり推理小説みたく上手くいかねぇか」  深琴は自転車を転がしながら、空を見上げた。 「そうよ。そういうものよ」  那託の尾が嬉しそうに大きく振れる。 ん?  深琴と共に空を見上げた湊は、気付く。電線に一羽の烏。さっきのと同じかまでは分からない。たまたまか、と視線を戻した。 「気をつけろ少年よ。狙われているぞ」 「?!ん??誰か今なにか言った?!」  突然の男の声に驚き、湊は声を張り上げてしまった。しかし、二人は普通に対応する。 「「何も言ってないけど」」 「な、なら良いんだ」  振り返り、先程の烏が居た方へ見上げたが、烏は既に居なくなっていた。 「深琴、今日は遅いから真っ直ぐ帰った方がいいぞ」 「打ち合わせすんじゃなかったのか?泊まる気満々で荷物持ってきたのに」 「っ・・・・」  言葉に出来なかった。
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