第1章 People having a tail

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 授業が終わり、尾を前に向けた。  やっぱり、本物だ。毛もある。確かに生えている。  触ってもちょっとしか感触が感じられない。  でも意思で動く。  これはこれで面白い。 「おいーーー湊ー尻尾変えてくれよーーー」  ナイルワニの尾を生やした友人。クラスメイト。坂井深琴(サカイミコト)。女っぽい名前だが気にするな。俺と身長は変わりない。体型も。  鰐の尾が生えたことで身体が重いらしい。ズルズルとそんな大きなものを引きずって歩いていたら、辛かろう。 「おい。俺関係ねぇって顔してんじゃねーよ」  向かいの席に背もたれを前にして、椅子に腰掛けた。  ふと、横を通ったサラブレッドの尾を生やした女子生徒が尾を踏んだ。 「いっでぇ!!」 「あ、ごめん」  そう言って、去って行く。 「不便だよーーーわーーーーーーん」 「知るか」 「おい!第一声がそれかよ!!」  そういえば、そうだな。
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