第1章 People having a tail

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 湊に抱き着いたのは、双子の姉、那託(ナタク)。モデル体型でもあるし、胸もそこそこある。巷では有名な美人、らしい。 「なんだよ、那託。朝っぱらから」  払い除ける。 「何よ、私の事置いていったくせに」  白銀の毛並みのツンドラオオカミの尾を生やす那託は、湊の顔にもしゃもしゃと尾を当てる。 「ふわふわよー」 「だからやめろってば」  呆れた姉だ。 「で、話は戻すが、噂の人達はどうなったか。」  深琴が口を開いた。 「いや、だから知らねーって」 「それ私も知ってる。私的には、動物になれなかった動物って思った」  椅子を持ってきた那託は、座りながら、そう言った。 「どういうことだよ、それ」  湊は笑った。そう言ったものの彼女が言っている事は直ぐに理解できた。  尾が生えたところで、人間は他の種にはなれない。どこかのおとぎ話ならともかく、他の種だって他の種にはなれない。それと同じだ。
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