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湊に抱き着いたのは、双子の姉、那託(ナタク)。モデル体型でもあるし、胸もそこそこある。巷では有名な美人、らしい。
「なんだよ、那託。朝っぱらから」
払い除ける。
「何よ、私の事置いていったくせに」
白銀の毛並みのツンドラオオカミの尾を生やす那託は、湊の顔にもしゃもしゃと尾を当てる。
「ふわふわよー」
「だからやめろってば」
呆れた姉だ。
「で、話は戻すが、噂の人達はどうなったか。」
深琴が口を開いた。
「いや、だから知らねーって」
「それ私も知ってる。私的には、動物になれなかった動物って思った」
椅子を持ってきた那託は、座りながら、そう言った。
「どういうことだよ、それ」
湊は笑った。そう言ったものの彼女が言っている事は直ぐに理解できた。
尾が生えたところで、人間は他の種にはなれない。どこかのおとぎ話ならともかく、他の種だって他の種にはなれない。それと同じだ。
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