贄の意味

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滝が流れ落ちるかのような見事な枝垂れ桜と、禁域のものとそっくりな泉がそこにはあった。 「思ったより時間がかかったね。 両親(ふたおや)が離したがらなかっただろう?」 「いや、それは大丈夫だった」 泉の縁の岩に飛び移り、守弥と呼ばれた鬼は咲良を気遣いながら石庭へと降りる。 「…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………? やけに小さい花嫁だねぇ。 まさか、人違いかい?」 「いや、それはないと思う。 危なげなく選定の泉を歩いて渡ってきた」 「そうかい…………それにしても小さいねぇ……」 くるんでいる袿を少しずらすと、ようやく袴と足が見えた。 「小さい足だ……」 どう見ても幼い子供のもの。 「…………………………詮索するのは後にしよう。 これでは風邪を引いてしまうかもしれない」 「そうだねぇ……」 守弥と呼ばれた鬼とばあさまと呼ばれた女性は、取り敢えず一番近い建物へと移動することにした。
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