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咲良が混乱気味な事や、話がややこしくなりそうだったのもあり、時雨は分家の志朗と鷲志を早々に帰した。
話が終わるまで誰も入れないように、建物の周囲へ人払いの術を張り巡らせるのも忘れない。
「これで当面は静かになるよね」
甘い茶菓子と程好い温度にしたお茶を用意し、先程の部屋に戻る。
「ばあ様、お茶を持ってきたよ。」
「ありがとうよ、時雨」
ばあ様は、ニコニコしながら守弥が連れ帰った花嫁の頭を撫でていた。
「そうかい。
さくらという名前なんだねぇ」
「はい。
双子の姉は咲耶といいます」
「双子……、お姉さんも同じように銀髪なのかい?」
「いえ……、わたくしだけがこのような色なのです。
家族は皆様と同じように黒い髪で黒い瞳でした」
「……ふうん…………」
歳の頃は漸く7歳といった感じだが、連れ帰ったということは15歳になっている筈……。
気になることは色々あるが、今はばあ様に任せた方が良いと守弥も踏んでいるらしく、口を挟まずにいる。
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