第1章

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「害虫伯爵様。お待たせだチュー」 そこに現れたチュー助。 「遅い!」 「ちょっとテレビを観ていたチュー」 「遅刻厳禁! さあいくぞ! トウ!」 害虫伯爵は長い黒マントをはためかせながらヒラリ、ヒラリと工場の屋根を駆け抜けた。 その後をチュー助が全速力で追った。 まもなく工場の中央のところで「まてい!」と害虫伯爵の前に突然謎の影が現れた。 「誰だ!?」 「私はヤマサキ工場を守るヤマサキ仮面! お前か! 害虫を使ってあちこちの工場を稼働停止に追いやっているやつは。卑劣な奴め! ヤマサキ製パンは私が守る!」 ヤマサキ仮面はスーパー戦隊用の白スーツと白マスクを着用し、いかにも正義の味方の格好をしている。 「いかにもな格好だな。しかし私の虫攻撃を避けられるかな? いけ! 虫どもよ!」 害虫伯爵の合図とともに、マントの中からハエ・ガ・ゴキブリの大群が飛び出し、一斉にヤマサキ仮面に飛びかかった。 ヤマサキ仮面は必死に戦うがキックもパンチも虫の大群を蹴散らす事はできない。 「フハハハハ! 飛び交う虫の大群と戦おうなんざ、無謀! 無謀! 無謀!」 害虫伯爵はヤマサキ仮面を倒す前にすでに勝利を確信して笑った。
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