【一】一夜の恋

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つい… 自爆してしまった。 「友達の話だからね」 「はい。わかっております。そのお友達、殻を破ってしまえば楽になれると思いますよ」 「殻?」 「恋に格差はありません。相手の地位や財力を気にして、殻に隠るようでは、まるで蝸牛ですね」 「蝸牛!?」 「はい、そんな殻取っ払えば楽になりますよ」 「蝸牛の殻を取ったら、ナメクジだよ」 「プッ…。失礼致しました。喩えを誤ったようです」 あんずは自分で言って、ウケている。完全に私と社長のことだってバレてるよね。 「わたくしはお似合いだと思いますよ。ご主人様、最近穏やかになられましたし」 「だから友達だってば」 「はい。さようでございました」 一夜の関係に心を乱されるなんて、どうかしている。
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