【三】卑劣な恋

3/23
7636人が本棚に入れています
本棚に追加
/153ページ
俺は檀から受け取った写真を差し出す。 「…これは?」 「封筒の中を見ればわかる」 西川店長は封筒から写真を取り出し、目を見開いた。 「社長…これは…」 「社員の恋愛に口を挟むつもりはない。だが、ひとつだけ確認したい。木葉に金銭を渡したことは?」 「…それは。父親の会社が倒産し借金があると…」 「金を用立てたのか」 「はい。年甲斐もなくとお思いでしょうが、私と木葉君は真剣に交際しています。借金があるなら助けてあげたいと思うのが当然」 今まで仕事一筋で恋愛をしたことがない西川を騙すには、木葉には容易いことだったのだろう。 「社長…私は…」 「この銀座店には魔物が住んでいるようだ。処分は追って連絡する」 「…処分!?社長それだけは」 西川店長が狼狽していると、椿と木葉が戻って来た。硝子越しに椿と目が合う。
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!