第二章

5/13
152人が本棚に入れています
本棚に追加
/129ページ
まつひま☆『ま、私の事は心配しないで下さい。結構コミュ力あるんですよ私』 既読 まつひま☆『っていうか先輩こそいいんですか、私にばかり構ってて。いや私的には歓迎ですけど、友達います?』 既読 ゆず『……お前、僕の事情を知っていてそれを言うか。僕が友達を作らない理由は前に話しただろうが』 既読 まつひま☆『まぁ知ってますけど』 既読 わずかにメッセージの更新が止まる。何となくこの後輩は画面の向こうでため息をついているような気がした。 まつひま☆『……いい加減どうにかしたほうがいいんじゃないですか、先輩の超能力』 既読 簡単に言ってくれるなこいつ。僕がどれだけこの超能力、というか特殊体質? に苦しめられてきたと思っているんだ。どうにかできるならとっくにしている。 と、ここで教室の喧騒をぶった切るように大きな音をたてて出入り口が開いた。思わず僕も視線をそっちに向ける。おしゃべりをしていた連中は一瞬だけ静まり、そしてあわただしい動作で教室に入り込んできた人間を見た途端、急に沸き立った。何だ? 「湯麻(ゆあさ)ちゃん来たー!」 「遅いよもー、また部活の朝練でもしてたの?」 「っていうかどんだけ慌ててんだよー」  男女問わず、教室のあちこちから入ってきた生徒へ声がかけられる。それら一つ一つに楽しげな返事をしているのは、テニスバッグを背負った女子生徒だった。
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!