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ふと、過去を思い出す事がある。
何気ない時に何気ない事を思い出して、それで終わる。
そんな過去話のような話。
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「次元、今回のヤマはそう簡単に行かないのが面白くてねぇ」
緑ジャケットを着た男が黒のスラックスに両手を入れながら話す声は、とても年齢に合うとは言いがたい高い声でおちゃらけており、ニシシと良くないことを考えながら色々と危ない単語を口にしている。
「だからさぁ、今回のヤマ上手くいけば、分け前は山分けって事で」
気楽に話している男、ルパン三世は今回の仕事はそこまで難しくもなく、簡単でもない仕事に浮き足だっているが、それを隣にいる全身真っ黒な男、次元大介がその仕事の話を聞いている。
次元も今回の仕事には参加するのだが、よほど気分が良いのだろう、先ほどから同じような話ばかりだ。
そろそろ聞き飽きてきた次元は何度目か分からない溜息共に、ポケットから『マールボロ』と書かれた煙草を取り出してそっと火を点けた。
街は基本賑やかで、こんな目立った男2人が居ても街の中心部なのだから、何かのコスプレやどこかのホスト、などとしか認識されない。
それほど知名度がないとも言えるのだけれど、それはこの際無視しておこう。
「……ルパン、いい加減その話聞き飽きたぜ」
言うか、言うまいかと悩んでいたのだがもうかれこれ10回目だなと思い、100回は聞かされそうになった話題に飽きと疲れが襲い、あまり不機嫌になるような事は言いたくなかったのだが、この際仕方ないと判断して、次元が口を開く。
その瞬間、綺麗とは言いがたい二酸化炭素がしき詰まっている空気に、更に煙草の副流煙が空に舞う。
「なんでぇい、ちーっとはノリ気なのかと思ったじゃねぇか」
案外すぐに話題を切り替えようと、辺りを見渡しているルパンに次元はそれほど機嫌が良いのかと関心しつつも、とあるパン屋を目にした。
そういえば朝食も昼食も口にしていなかった事を思い出し、更にパンの匂いで空腹が刺激されてパン屋に釘付けになる。
「どした? あぁ、そう言えば何も食ってなかったな。そこのパン屋入るか」
察しが良いのか、自分がそう思ったのかは分からない次元だったが、悪い気にはならなかったので、ルパンが歩いている後ろについていきながらも、パン屋に入店した。
「いらっしゃいませ」
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