第1章

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あるいは小学生の頃にそう言って、大人になってから再びいうのもい言いだろう、と考えていた矢先にルパンからの言葉である。 「居なくなるって? 何処かへ行くって事? 二度と帰って来ないって事?」  不満、不安、そういった負の感情に押しつぶされそうになり、肩を震わせ、目尻に涙を溜めながらルパンに問う。  緑のジャケットは恐らく何百万とするだろう、それでも構わずルパンのジャケットを握りながら嫌だ、と首を横に振る。  生きるより所、それを無くしたくはない。  ルパンがいたから耐える事のできたことも、居なくなれば耐えれないだろう。 そう思っているからそこ、近くに居て欲しい。  せめて国内でも構わない。 近所に居なくても良い、西から東に移動するなら良かった。  でもルパン達は国外に行くと告げられ、自分じゃ到底いける場所ではない事は口にせずとも分かり、必死に行って欲しくないと伝えていると急に頭を撫でられた。  顔を上げると、ルパンはこの時初めて優しい表情をしただろう。 「また戻ってくっからよ。次は10年後に戻って来てやる、だから俺が誰だか分からねぇ奴になるか、それとも一瞬でお前だと分かる奴になるか、俺も楽しみだぜ」 「そんな事言って、来ないんだろ……!」 「来てやるよ、今月の今日に」  だから、もう行くぜ。 ルパンはそう口にして優しく子供の手を離していく。 最後に片腕を上げて、近くで待機していた次元と合流し、恋也に背中を向ける。  恋也は俯きながら通り過ぎて行った影を見ることは出来ず、頬に暖かい雫を流すだけだった。  **  9月の20日。  そろそろ冬服になってきている者もいれば、まだ半そでの者もいるシーズン。 暖かい日もあれば寒い日もある、そんな体調を崩しやすい季節になっている頃、赤いブレザーを身に纏った1人の少年は街中を歩いていた。  目的は特にないのだ。 何か歩いていれば目的ができるだろう、それと、今日がその日でもある。  信用しているわけではない、何せ世界中を飛び回るのだから、忘れているだろう。 10年も経てば人は忘れるのだ。 「この前食べようよしたロー『ルパン』がさ、腐ってて――」  ふと聞いたことのある単語に耳を傾けたものの、後々全く違うものだと理解し溜息をついて、視線を上げるとそこに、見覚えのある顔が見えた。
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