第1章

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 苛め。 人を無視したり馬鹿にしたり、嫌な事をする事を人は【いじめ】と称した。  何処の誰がなんてものはタイムマシンが無い限り分からないだろう。  いじめは無くならない。 誰かがそう言ったのをふと思い出した。  人から人へ、それは感染病の様に広がってしまう。    いじめられる人に原因はあるとも言われる。 それは責任を被害者に押し付けているのではないだろうか。  もし、いじめられている本人に全く原因はなく、ただの気まぐれでいじめが行われいると言うならば、本当にそれは楽しいのだろうか。  加速していき、後先考えず、後悔する程酷くなるのだろうか。  私はそれが疑問だ。  【無関心/Indifference】  時は高校入学したての5月の上旬。 毎日暖かい気候は眠気を誘う春の特権。  教室から見える大きな桜の木は今日も今日とて咲き誇っている。  ――ガラッ。  普通棟にある教室のドアを開ける。 白いそのドアは所々傷んでおり、そろそろ新しく設置されるだろう。  ドアを開けて目の前に映る光景は、いつもの様に桜の木が何かを言いたげに花びらを一枚落とした。  窓際の後ろの席の人はこの桜の花びらが邪魔そうだけれど、私はこの桜の木は嫌いではない。 「…………」  教室には沈黙が訪れる。 後ろのドアから入ったのだから、全員振り向いているのだ。  けれどそんな事に気を配られていれば他に手が回らないと、自分自身でも思う。 さりげなくドアを閉めて全六列のドアからみて三列目の、一番後ろの席に座る為に歩みを進める。  5月に入って席替えを行ったので出席番号は関係がなくなった。  机の目の前に着けば、机の上には油性マジックでカラフルに落書きがされているのを目にする。 『ヤクザ親父』 『ヤクザの娘!』 『総長(笑)』 『万引き女!』 『警察行け』 『学校来るな』 『ギャンブル好き』  赤、青、緑、ピンク、黄色、オレンジ、水色、上から順に左記の色で書かれている。  ヤクザと言う文字が2回も登場しているのだけれど、事実なので仕方ない。  私の父は学生時代、私と同じ歳ぐらいにバイクの免許を取り、走り回っていたという歴史があるのだけれど、父曰く『走り屋』。 ヤクザと一緒にはして欲しくないと何度か聞いたことがある。  父との仲は悪くない。  
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