第1章

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 ヤクザ、ツッパリ、走り屋、暴走族、全て『不良』とまとめてしまえばそうなのだけれど、学校の授業、この場合数学で説明した方が分かりやすいと思う。  展開、二次関数、因数分解、連立方程式、不等号式、相似、数学とまとめてしまえば全て『数学』である。 その『数学』の中の「展開」「二次関数」「因数分解」……なのだ。  同じ数学でも公式や解き方が違う、それと同じで『不良』と言っても「ヤクザ」と「ツッパリ」じゃ定義が違う。  私は定義の内容までは知らないのでこの話はここまでとしよう。  それよりもこの机の落書きをどうやって消すか、はたまた悲しんでいる姿を見たいのだろうかとあたりをぐるりと見渡す。 「それでさー」 「そういえばさ」 「あとさ」  発した者は全員別人。  一人はロングの黒髪を束ねる事も無く下ろして、ブレザーを肩から掛けて耳にピアスを空けている、このクラスの女子で一番権力がトップに当たるだろう存在の女子。 胸はそんなに大きくなく、シャツのボタンを二つ開けてネックレスを毎日つけている。 名前は確か西城(さいじょう)しなの。  一人は金髪に染めた髪を後ろで一つで束ね、カーディガンを羽織っている女子。 どちらかと言うと巨乳の類に入り、西城派閥この学校では西城閥と呼ばれている、の一員で一員なのに、他の派閥の人と話をする事で有名。 名前は名取良子(なとりりょうこ)。    一人はシャツのボタンを全て開けて、黒のTシャツを着ている男子。 見た目は今で言う『不良』なのだが時々見せるドジや、天然発言が不良とは思えないらしい。 茶髪で短髪で目はつり目、ベルトに家の鍵らしきものが付けられており、歩く度に鍵が揺れていたりとしている。 名前は長谷部公太(はせべこうた)。  西城は教卓に腰掛け、脚を組みながらクスクスと笑いながら私をチラッと見て、すぐ隣に居る西城閥の女子と視線を合わす。  名取は前のドアに凭れながらすぐ近くに座っている、男子に話しかけては時々私を見てはスマホを取り出したりとして男子に見せている。  長谷部は私の二席前の机の上にあぐらを掻いて、周りに三人ほど友人とPSPで何やらゲームをしている。 「誰が書いたの?」  茶髪で赤色がが多い髪を肩まで伸ばし、特に束ねてもいなく頬杖を付きながら私を見ていた一人の女子に声を掛ける。  席は窓際の一番後ろ。
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