第1章

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 達した後も恋也は熱い息を吐き続け、そして一言「覚えておけ」と呟いた、  **  あの後、恋也は意識を失って今朝方目が覚めた。  腰痛が酷いが気にしている暇もないぐらいに羞恥が襲い、布団おそらく普段ルパンが使っているものであろう、をもう一度被ってシーツに顔を埋める。  隣に人肌はなく、肌寒さを覚えつつ、寝返りを打って壁側に向く。  壁は壁でしかなく、何度溜息を吐いても変化は訪れないので、一度体を起す。  すると目の前に映った光景は自分の服が散乱しており、昨夜自分が何をしたのかと言うのを、突きつけられているような気分になる。  薬を盛られていたとしても、乗ったのは自己責任だ。 「マジか……」  はぁ、と溜息混じりに呟き床に散乱している服を広い、フローリングの床を裸足で降りて昨日着ていた服をもう一度着なおす。  何も着ないよりマシだろう。  どんな顔をして会えば良いのかと悩んでいると、ガチャリと風呂場のドアが開く音が僅かに聞こえた。  対して広くもないこのアジトの音は、大体聞こえてきて、今どこに誰が居るぐらいは検討がつきやすい。  数分経った頃に脱衣所のドアが開く音がしつつも、足から伝わる冷たい温度を感じながら、ゆっくりと部屋から出て、脱衣所に向かう。 「起したか?」 「いや、いつもこの時間帯に起きる」  誰かに起されたわけでもないので、正直に答えつつ、恋也は脱衣所のドアノブを手にした。 そのまま右に回して中に入り、シャワーを浴びていた。  腰の痛みは治らない。  ** 「腰、痛むか?」  脱衣所から出て開口一番に尋ねられた事に、頬を赤く染めつつ意地で首を横に振った。 確かに初めてと言うわけではない。  けれど、自分の意識が飛ぶぐらいまで弄られたことがないため、腰痛等には無縁だったので、重い腰を持ち上げるように伸びをしたのがいけなかったのだろう、すぐに腰を痛めてると目の間にいるルパンに見破られ、リビングとはいえないが、昨日酒を飲んだソファに抱えられて、連れて行かれた。 「何、するんだよ……」  そう言うも答える素振りを見せないまま、ルパンはソファに腰掛け、恋也を自分の脚の上に座らせた。 「言っただろ? 口説くのを楽しみにしていたって」  恋也の耳元でそう囁いては、そのまま続けるように告げた。 「大人の味には裏があるって思えよ」
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