第1章

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「何を約束したか知らねぇけどよ、ソファ汚したらまた怒られんぜ」 「次元ちゃんが俺をマジにさせるからでしょ」  肩を竦めながらいつもの様にルパンは返答する。 本当に次元にとっても訳が分からないが、1つ言えるのは、そこまでして何かをしているという事だった。  次元は鼻を鳴らし「おめーが紛らわしいことするからだ」と言って、そのままリビングから出て行った。 「アイツは覚えてねぇだろうけどな」  窓の外を見ながら呟いたのだった。  ** 「ここにwillがあるのでこのareはbeに変わるのよ」  不二峰子(ふじみねこ)が恋也のクラスで英語を教える。 考える事は同じ様で恋也は溜息が出そうになったが、さすがに友人に聞かれると面倒になると予感したので、誰にも愚痴らずに暫く日々を過ごしている。  大体1週間と言って良いほどの時間が経った時、不二峰子が恋也を空き教室に呼び出した。 「あなた、自分で出した条件、覚えてる?」  『教師』ではなく『不二子』として質問する。 やっぱり恋也を誘う気なのか、スカートは短めのを穿いており、黒のタイツを穿いている。 机に腰掛け脚を組むのをゆっくり行ってはいるが、それで心が揺れると言う訳でもなく、恋也は「俺を惚れさせた方に組む」と言い、内側からロックをかけた。 「あら、自分から閉じ込められる事になるのよ?」 「別に窓から飛び降りれるから問題は無い」  放課後と言うのもあり、校内にはほとんど生徒や教師も居ないだろう。 そんな中、窓から飛び降りたって見られていても、気にする事はない。 「ねぇ、恋也君。私と組めば楽しい事沢山してあげれるわよ」  そう囁くように言って不二子は机から降りて、恋也に近付く。 ドア付近に居る恋也は動かないで居るが、不二子が目の前にやってきて、そのまま壁に押し倒される。  ちゅ。  何かが、触れる感覚を覚えつつ恋也は不二子を見つめた。 自分にキスをした女性、胸を押し付けて脚を絡めて、自分の欲のままに動く女性。 「ね、ルパンはこんな事しないでしょ? 私と遊んだ方が、楽しいのよ」 「……そうかもしれないな。女と遊べば女を抱ける。でもさ不二子、俺は女を抱くという事に興味がないんだ。ただ女から抱いてというから抱いてるだけで、楽しいと思った事は一度もない」  申し訳なさそうに恋也は告げた。 何度か抱いて欲しいと言われた事はあった。
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