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だから恋也は抱いたのであって、自分から女を抱きたいとは思ったことが無い。
それは言い方を変えると、女に興味がないとも言える。
「不二子にとったら色仕掛けが最大の武器なんだろうけど、俺は通用しない。どんなに不二子が俺を誘ったって、俺は何も感じないんだ」
肩を竦めて苦笑いをした。
いくら自分が出した条件であっても、不二子に勝ち目は無い事は不二子自身も分かっていた。
ルパンしか見ていない、そう思うと不二子は勝てない。
女に興味がないと言っても、不二子のスタイルは皆目を引く。
不二子に魅力がないと言う訳ではない。
女子高生に比べると色気もあり、男の扱い方を知っているのだが、恋也はルパンしか見ていないから、不二子がどれだけ色仕掛けしても意味が無い。
「それほど、ルパンが好きなのね」
珍しく諦めが早い不二子。
「好きって、俺がルパンに好意を抱いているみたいな言い方……」
「抱いてるでしょ」
とどめの一言だった。
「あぁ、抱いてるよ。自分でも分からないぐらいに惚れてしまってる」
初めから、惚れているのはルパンなのだから、不二子に勝ち目は無い。
仕事自体はどうでも良かった。
変装しろと言われれば変装するし、女装して恋人の振りでもしろと言われればそうするだろう。
何でもする。
それが自分のするべき事で、自分しか出来ないことだと思っている。
「……でもさ、そんな事知られたら俺はルパンともう組めないだろ」
恋也の今の表情なんて不二子でも分かるぐらい、泣きそうだった。
それもそうだろう。
好きな人がルパン三世で、そんな事を本人が知ればもう組ましてもらえない。
そんな事、言葉にしなくても分かるぐらいの事だった。
二度と組ませてもらえない、相手にもしてもらえない、きっと建前上では笑ってくれるだろうが本心では気味悪がるだろう。
「だから言わないでくれよ、俺がルパンを好きだって事」
ワザと微笑みを浮かべた。
「もうおせぇよ」
不意に不二子からルパンの声が聞こえる。
まさか、と思っても遅かった。
ビリビリと不二子(変装)が捲られていく。
恋也の目の前には見慣れた男の姿がそこにあった。
「ル、ルパン……」
逃げようと後ろ手で鍵を開けようとしても、それを阻止される。
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