第1章

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 不二子お決まりの色仕掛けでルパンに近付くが、今回ばかりは不二子に裏切られる訳にはいかない仕事なので、ぎこちない笑みを浮かべつつもルパンは「今回はちょぉっと厄介なのよ。不二子ちゃんには悪いけど、仕事の内容は教えられないんだ。でも不二子ちゃんが疫病神って事はないんだなぁ」といつものおちゃらけた調子で返事をした。 「ルパンがそう言うなら今回は身を引くわ。こっちはこっちで好きなようにしているわけど、恋也君は借りるわね」  此処には居ない(学校の為)、少年の名前を不二子は口にした。 ルパンに絡めていた腕を解いて窓際に腰掛けるように座った不二子はルパンに確認を取るように「仕事の邪魔はしないから良いでしょ?」とルパンに交渉を持ちかける。  だが、ルパンもルパンで恋也と組む気でいた為、すぐに『分かったよ』と頷くことは出来ないでいる。  丁度その頃合に、恋也は授業を終え、帰宅してくるのだが……。  ―帰宅途中― 「っていうかさ、今回のテストふざけてるよな。範囲広すぎだろ!」  肩を竦めつつ友人の話を聞いていた恋也は、正直テストの事は考えていなく、どうせ点が取れるのだから考えなくても問題は無く、分からないところがあれば兄かルパンにでも聞けば何とかなると思っているので、心配すらしていない、とも友人相手だと言いにくいので、肩を竦めるという行動だけで返事をしていた。 「分かろうとしなければ、分かるものも分からないままだって」  一応アドバイスをしておいた方がよさそうだったので、思いついた言葉を適当に並べておき、そろそろアジトにでも帰るかと思っていた。 そんな時に目の前に夕日から銭形が現れた。  いや、決して銭形が太陽から「よう!」と言うに出てきたと言うわけではなく、ただ夕日が丁度道に虹の様に掛かっており、反対側から歩いて来た銭形が、夕日から出てきたように見えたというだけだ。 「ちょっと良いか?」  銭形は恋也、隣で歩いていた恋也の友人に声を掛けて、とある1枚の写真を2人に見せた。  黒髪で長さは肩ぐらいまであり、前髪を真っ赤なピンで留めて、頬にスペードのAと描かれ、サングラスを掛け、右手で外国人がよく使うグッドのサインをし、その右手を逆さまにし、左手は中指だけを立てた男の写真を見せた。  しかも右手は男の右側の胸元にあり、若干傾いていた。
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