第1章

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一度、首を斬る動作をした後の傾き具合だった。 「この男を見なかったか?」 ――何で持ってんだよ!  恋也は心の中でそう叫んだ。 いや叫ぶしか方法は無かった。 だって自分自身なのだから。  そんな事を言ってしまえば、自分は裏社会の住人だというのを友人に告白するようなものだ。 学校や家庭内では『表世界の住人』と言うのを演じている為、家族内はともかく友人には『裏世界』ましてや『ルパン三世』のメンバーの1人など、言える訳もない。 「……この男が、どうかしたんですか? 見た目的には失礼ですが、犯罪者という感じですけど」  出来るだけ丁寧に、そして笑顔を崩さず、問いただす。 自分に何の用か、それを聞きださない限り、情報など提供しないのが常識である。 「高校生に言うのは気が引けるが、コイツは悪党だ。それも色んなものを盗んでる、な」  それだけを聞いて、恋也は自分の写真を見ていつ撮られたものだろう、と的外れな事を考えていた。 「名前は?」 「ギルティ・クラン」  友人の問いに恋也が普段の授業中の表情で答える。 銭形は犯罪者の名前を知っていたことに驚いたようで、目を見開きつつも「よく知っているな」と口を動かした。 「まぁ――色々調べてたら、色々な事を知ったって言う方が正しいか」  自分自身だ、なんて言えないので適当な嘘で誤魔化し、自分たちにギルティの事を聞いてくるという事は捜査中なんだろうと言うのは聞かなくても理解できたので、先に恋也がミスをする前に「時間をとらせてしまったようで悪いですが、俺が知っているのは顔と名前だけです。この辺りでは見かけていません」と申し訳なさそうに肩を竦めつつ、口を動かした。 「そうか。でも気を付けろよ、コイツもルパンと同じで変装の名人だからな」  ヒラヒラリと写真を振りながら銭形は恋也とその友人を通り過ぎて行った。  ** 「だーかーら! 邪魔はしないって言ってるでしょ!」  ルパンアジト、と言うわけでもなく、ただ恋也が買っていた家の1つで特に使う用事も無かったので、この国での仕事の時は今居る家を使うことになっている。  そのせいで修理代がかなりの額になってしまう事があるのだが、その辺りは大体と言って良いほどルパン持ちである。  そんな一軒家の一室では口論が行われいた。
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