第1章

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『恋也をどっちに組ませる』という、実にくだらない内容の言い争いを繰り返している。 「ルパン! あなたには次元と五ェ門が居るじゃない! 私は1人なのよ!」 「よく言うぜ、普段1人で抜け駆けしてるくせに」 「アレはアレ、コレはコレよ!」  いい加減、もうそろそろ何か物が飛び出そうだ。 不二子が近くにある物でルパンを殴っても良い頃なのだが、そうしてしまうと恋也からのきっついお言葉が待っている為、やりたくても出来ない状況だ。  実際ルパンが何回も恋也に「一週間外出禁止」や「銭形に引き渡す」や「晩飯タコ」など、ルパンにとって不利になる事を言われているのを不二子も知っているので、家主の物を壊すという事は出来ないのである。  仮にしたとしても、恋也に色仕掛けは通用しない。 それがオチなのだ。 「ちょっと五ェ門! ルパンに何とか言ってよ!」  五ェ門に振ったのだが、五ェ門はルパンの味方なので、不二子に従うことはなく「不可能でござる」と一言、次元の向かい側にあるソファで座禅を組みながら返答する。  完全に味方が居ない不二子。 それでも諦めたくないのか、不二子はどうしても恋也を貸してもらおうと、ルパンに必死にお願いをしている。 「だから俺も今回は恋也ちゃんは必要なのよ、分かって頂戴」  手を合わせてお願いするルパンに目もくれず、嫌だと言う不二子にガクリと分かりやすい動作をしつつ、イスを反対向きに座って、背凭れに腕を回している。  その様子を見ている次元と五ェ門の気にもなってやれないのだろうかと、後々恋也が呟いていたのだが。 「いい加減にしねぇとこっちの仕事の話進まねぇぞ、ルパン」  次元がグラスを揺らしながらルパンに告げた。 かれこれ30分は経っているだろう。 いい加減に話が終らないと仕事の話も出来ないため、早く終らせろと言う様に、次元は空になったグラスをテーブルに置いて、ソファの肘掛に膝を掛けて、ソファに横になった。 「分かってるけどよ……」  恋也なしで仕事をするか、恋也を含んで仕事をするかそう言った事を悩みつつ、不二子の頼みなので断れず、そんな優柔不断な思考がぐるぐると頭の中を回っている。  ――とその時、ドアが開かれた。 「ただいま。不二子も来てたのか」
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