第1章

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 少し口角を上げ、困った笑みを浮かべながら恋也は口を動かすが、実際のところどっちの意味でも捉える事が出来るので、あえて片方はやりたくないと反対するが、もう片方もやりたいとはあまり今のところは思っていない。 「そんな事じゃないわ、もっとスリルがあって楽しいことよ」  どうしても自分の味方にしたい不二子は手段を選ばないようで、恋也に顔を近づけてそのまま口付けをしようとした所で見ていられなくなったルパンが、不二子を引き剥がそうとイスから立ち上がり、不二子にめがけて文字通り飛んできた。 「キスは、お預け。可愛らしいレディに相応しい所でキスは行おうか」  ルパンが飛んでくるそれより先に不二子の顎を優しく摘まみ、ホストが言うようなセリフを恥じらいもなく吐き、自分に密着している不二子からすり抜けて、飛んで来たルパンの服を掴み、自分の後ろに立たせるように、腕をゆっくり後ろにした。 「何があったか知らないけどさ、色仕掛けで俺にいう事聞いてもらうって言うのは、さすがに無理だと思うな」  ルパンと不二子から離れ、ルパンが先程座っていたイスの向きを正しい向きに変え、腰を下ろして脚を組みながら言う恋也に次元は、鼻を鳴らして「よく言うぜ」と放った。 続けて「この間路地裏で女人に口説かれていたのはどこの誰だ」と五ェ門。 「お詳しい事で、まぁ、俺も商売してるんで、ただの商売相手だな。基本女を扱う商売してるから口説かれてるのか、口説いてるのかよく分からない時があるけど」  両手を少し広げ、そのまま上に軽く上げ、何故そうなったのかと言う理由を述べる。  だが、そんな事はどうでもいい。 「恋也ちゃーん、俺とディナーでも――」 「ディナーの前に課題」 「ちょっと! 私が先に話してるのよ! あっち行ってて」  何が何だか全く分からない状況で、恋也ははぁ、と1週間の1番初めの溜息を吐いた。  **  月日は流れて1週間。  恋也もルパンと不二子が自分に何故色々聞いてくるのか、次元と五ェ門に理由を聞き、理解したところで、暫く様子を見ることにした。 それからというものお互い自分の物にしようという思いが強いのか、時にスリル、時にセクシーな事をやってくる。  ルパンなんて今回一緒に組めば何でも望むものを盗んでやると言い、不二子は不二子で、味方になれば抱いても良いとか言い出した。
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