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何も無い日、そう言ってしまえばそうなのだろうが、そうでもないと言えばそうでもない。
4月1日、エイプリルフールと呼ばれるその日は「嘘を吐いても良い日」だとされている。
そんな事に興味がない人はただの1日だろう。
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紅色の高級感あふれるソファーに、窓付近に置かれたビリヤード。
先ほどまで誰かが使っていたのか、使用済みのような状態になっている。
ソファーの前には小さなけれど多少物は置く事の出来る大きさの、木製のテーブルがある。
ソファーは1つで、近くにこれまた木製のイスがポツンと置かれ、虚無感をその部屋は放っているのだ。
そんな部屋で1人の男、ルパン三世がソファに身を委ねながら新聞を読んでいた時の頃。
ガチャリ、とリビングと呼べるその部屋のドアが開くと、髭面の男、次元大介が姿を現す。
いつもクールなガンマンと呼ばれる次元の顔は、何かを考えながら、けれどどこか決意したような様子でソファに近付いていく。
そして、――ルパン。と小さく声をかける。
「次元どうした?」
名を呼ばれ顔を上げると次元の姿があり、首を傾げながらもテーブルに新聞を畳んで置き、上半身を起こす。
次元はその間にもルパンの様子をじっと見つめては、小さく息を吐き、顔を上げて「好きだ」と告げた。
「……は?」
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