これは歪んだ物語――

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 それは平和島静雄と呼ばれる男と、黒いファーコートを身に纏った男が殺し合いをしている姿だった。 「不二子ー……。お前、こんな危ねぇ奴の事俺に聞いてどうする気だ?」  何かを盗めというのか、だが、不二子を人質に捕られた訳でもなく、不二子がこの男に何かをしてもらうといった行動は見せていない。 何の為にルパンに平和島静雄の事を聞いたのだろうかと、思考を巡らせていると不二子がルパンの腕に絡みついて口を開いた。   「面白そうじゃない。一度行ってみない? 池袋に。あなたの言う退屈も殺せるかもしれないわ」  猫の様に不二子はルパンに寄り、高い声でルパンに問う。  色仕掛けなら不二子に勝てる者はいないだろう。    ルパンは暫し考えて、口角を上げた。 「たまには悪くねぇな」  甘楽という者を捜すのも、平和島静雄という者を捜すのも、全て退屈しのぎにしても何かが起こりそうだ。 ルパンはそう思った。  甘楽【平和島静雄なら自販機か標識かポスト投げてます!】  甘楽【あとは首なしライダーとか】  フランスパン【聞いておいてアレなんだけど、そろそろ落ちます! 昨日から寝てないので眠気が……】  フジ【私も落ちるわ。おやすみ】  セットン【それは大変! おやすみなさい】  甘楽【おやすみなさーい】  バキュラ【おやすみっす!】  罪歌【おやすみなさい】  田中太郎【おやすみさない】    フランスパンさんが退室されました  フジさんが退室されました 「さてと、不二子」 「何? ルパン」 「次元と五右ェ門、起こしてこようぜ」  ルパンと不二子は未だ眠っている次元と五右ェ門を起こしに行く為、ノートパソコンの電源を切り、携帯を仕舞い、まだ少し酒の匂いが残っているリビングを後にした。
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