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一台の黒バイクが走っている。
黄色いヘルメットを被り、上から下まで真っ黒なライダースーツを身に纏っている。
そんな街で起きた1つの物語。
#プロローグ
この世の中は退屈だ。
そう思ったのはいつ頃だろうか。
普通に物を盗む事にスリルもなにも感じなくなった頃、大規模に予告状を出し、宝を盗むようになった。
その手口といったら華麗で繊細で誰もが惚れるものだったのは自分でも自覚している。
それからというもの、いわくつきの宝が現れれば予告状を出し、盗みを繰り返す。
そんな或る日の事だった。
「ルパーン」
1人の女性の声がアジト内に響く。
何かったのか、それともあの銭形がやってきたのだろうかと読んでいた新聞から顔を上げ、声を掛けてきた女性――峰不二子に視線を向ける。
「どうした、不二子?」
不二子はソファに座っていた青ジャケットの男――ルパン三世に、手に持っていたどこかの画像サイトの画像をプリントした写真を持って来ては、新聞を読んでいたルパン三世に写真を突きつけた。
「この人だぁれ?」
不二子が見せた写真の中に、イケメンの部類に入るだろう、金髪にサングラス、バーテンダーの服を着た男を指差した。
見た感じ不二子が好みそうではないのだが。
「さぁな。どこかのバーテンダーだろ」
「バーテンダーさんが自販機持ち上げるの?」
「……何?」
バーテンダーが自販機を持ち上げる、不二子は確かにそう言った。
けれどルパン三世でも機械を使えば自販機は持ち上げることが出来るが、素手で自販機を持ち上げる事は不可能だ。
「不二子そいつの事誰から聞いた?」
ルパンが不二子を見上げると不二子は思い出すように、口元に人差し指を置いて少し斜め上を向いた。
それか数秒後、バーテンダーの男が嫌う人物の偽名を口にする。
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