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「甘楽って人からよ」
「甘楽……? 偽名か」
聞いた事のない名前に偽名の線が濃くなりつつもあるが、その『甘楽』という名はどこで使われているのか分からないので、調べるかと傍に置いてある木製の小さな机の上に置いてあるノートパソコンに手を伸ばす。
「チャットで教えて貰ったのよ、このバーテンダーの事。とっていも自販機を持ち上げるという事しか聞いてないわ」
チャットと聞いて不二子がそんな事をするのだと今知り、ガクリとショックを受けたように肩を落とすもすぐに元に戻り、「どこのチャットだ?」と不二子に問う。
不二子も不二子で教える気は普段ないのだが、気になっているので「招待制のチャットだからちょっと待って頂戴」と黒にピンクのラインが入ったライダースーツの、胸元から携帯を取り出してルパン宛てにチャットのURLが貼られているメールを送る。
ルパンのノートパソコンに不二子からのメールが送られると、ルパンはすぐにURLをクリックした。
そこには確かにチャットルームがあり、今でも何人もの参加者が居るようだった。
チャットルーム
甘楽【どーもー、甘楽ちゃんでーっす!】
田中太郎【どうもです】
バキュラ【ういす】
罪歌【きょうも、よろしく、おねがいします】
甘楽【大分参加者も増えてきましたねー!】
バキュラ【色分けされているので甘楽さんを袋叩きにできるっすね】
甘楽【きゃー☆】
罪歌【みんな、なかよく、しませんか】
「あら、今日もバキュラさん居るのね」
ルパンのパソコンを覗きながらどうでも言い事を呟いては、ルパンの隣に腰掛けて携帯でチャットルーム【フジ】と言う名前で入室する。
ルパンにしてみれば、それがどうしたという事なのだが、不二子はこのチャットを好んでおり、バキュラが気に入っているのでバキュラが居るだけで嬉しいのだ。
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