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セリフと動きが同時だった。
恋也は喋りながら、足元に置いてあったビニール袋を手に取った。
中に何が入っているのかは分からないのだけれど、何かが入っていることは良く分かった。
ガサガサと音を立てながら出されるのは、真っ白なタオルだった。
「――って、聞いても答える訳ないよな。使え」
そう言いながら俺の股間にタオルを当てた時、我慢しているものがゆっくり俺の中から出て行くのが分かる。
布越しに出す尿は温かくて、一瞬でも気を抜いたらタオルからはみ出てしまいそうだ。
脚を組んでいる所為か、太腿もジワジワと濡れていき、このままだと座席を汚してしまいそうで、どうしたら良いのか分からずに恋也の方を見たら、俺の言いたい事を理解したのか、片手にビニール袋を持って、片手で俺のファスナーを下げていく。
そしてそのまま、下着の中から性器を取り出して、ビニール袋の中に性器を入れた。
――ガサガサガサ。
今まさに尿をビニール袋の中に入れている音が車内に響く。
「はっ、離せ!!誰かに見られてたらどうすんだ!!」
羞恥で顔を赤く染めた俺とは違って、恋也はとくに気にした様子もなく、俺の放尿が終るのを待っている。
渋滞しているから良かったものの、誰かに見られているような気がする。
「んっ、はぁ……てめっ!」
俺の言葉を無視して何故かキスをされた。
人生初のキス相手が成長しすぎた弟とは……。
「見られても俺は問題ないけど?」
「散れ!!」
口が離れて、耳元で囁かれたのでただ叫ぶしかない。
気を紛らわすためなのか、俺の放尿は終って、ビニール袋は何重にもして中に濡れたタオルを入れて、縛って紙袋の中に入れた。
後でどこかに捨てるんだろう。
「それにしても、いつから我慢してたんだ?」
「知ってる癖に……」
「ご機嫌斜め?」
「ちっ……」
――俺が我慢してるの知ってたから、不機嫌なのを取り繕っていたんだろ。
――元に戻ったら、どうやって仕置きしてやろうか。
そんな事を思いながら窓の外を見て、サービスエリアまでの距離を確認していれば、不意に隣で今さっき、自分が発していたのと似たような声が聞こえたような気がした。
――サービスエリアまであと……。
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