背中

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** メールを打って数秒後、了解と返って来たメールを良太は見つめて、鞄を持ち教室をゆっくり出て漏らさないように慎重に歩いた。 校門にくれば、兄の姿があり、あとちょっとと思ったのも束の間。 バイクや車等がない。 家も近いため、兄は歩きで良いと判断した。 その判断は良太にしてみれば間違っていた。 「何でバイクとか車で来ないんだよ!!」 第一声がこれである。 迎えに来いと言ったのは、良太だ。 だが、何で、などと言ってはいなかった。 良太は睨みつけながらも言葉を発し、更に続ける。 「俺のこと何も知らないくせに!!」 「俺は何で怒鳴られてるんだよ?」 「自分に聞け!!」 ジュワジュワ。 少量漏れてしまった。 幸い、制服には達していない為、気付かれてはいないことにホッとしている。 兄は溜息を吐きながらもしゃがみ込み、「乗れ」と一言告げた。 ** 「ぁっ……、ぁ。まっ……」 さっきから同じ事を何度も繰り返している。 「ダメ」だの「ヤダ」だの、何を感じているんだと誤解されそうな声で目を瞑りながら兄の肩を、思いっきり掴んで、尿意に耐える。 我慢するしか方法はない。 そう思った以上は我慢する。 だけど、トイレに行きたいとは言っていないので、兄の歩くペースはいつも通り、一般の人よりやや早めである。 良太には刺激でしかないため、喘ぎ声に近い声が口から漏れる。 良太の様子を可笑しく思ったのか、兄は立ち止まり「……おしっこ?」と遠慮気味に尋ねてみた。 兄の問いに良太は顔を真っ赤に染めながらも、縦に振ることはなく、首を横に振った。 それでも長年育ててきた為か、我慢している時の癖をしっているのか、兄は「良太。正直に言えって。おしっこか?」と再び尋ねる。 「……おしっこ……」 納得がいかないような、そんな表情をしながら、良太は上記を口にして襲い来る波を耐えている。 もうとっくに限界が近い。 自分でも分かっているけれど、もうすぐで家に着くのに此処で漏らすなんて嫌だ。 どうしてもそう思ってしまい、草むらでしたいなど言える訳もなく、ただ我慢を続ける。 「もう少し、ゆっくり歩いて」 いつものペースで歩かれるときっと漏らしてしまう。 そう思った良太はゆっくり歩いてほしいと頼む。 兄は頷いて、いつもよりペースを落として歩いているが、良太にとったらそれでもまだ早すぎる。
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