バスケ・脚本

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   隼人の言葉に、ビクッと体を震わせて、立ち止まる彩。 隼人「中野彩さん……だよね、いつも試合見に来てくれてありがとう。あのさ、このあと少し話せない?」 中庭ベンチ 隼人「ははは、それで翔梧の奴がさ、こー、べた?て、漫画みたいに転んでさー」    身振り手振りで話す隼人。 彩「えーなにそれ?」    口に手を添えながら笑う彩。 N彩「夢かと思った。隼人が私にこんな話をしてくれるなんて……」 N彩「それから私は、彼とよく話すようになった」     回想食堂    二人でランチを食べている。 N彩「私の気持ちが通じたんだとかってに思い込んだ」    二人を疎ましそうに見る三人の女子。 N彩「隼人は自分の物だと、独占欲すら抱いていた」       女子3人をチラっと見る彩。 大学の講義室 N彩「そしてそんなある日、私は、友達に嘘を付いた」    席で紗江子と話している彩。 紗江子「そう言えばさ、彩って付き合ってる人とかいないの?」 彩「え……?」 紗江子「だーかーらー、彼氏いないのってことだよー」    彩は一度下を向き、目を閉じる。 彩「……いるよ、彼氏」 紗江子「え、まじ!?誰誰、どんな人!!この大学!?」 彩「う、うん……バスケ部の……隼人先輩……高校、同じだったんだ」 紗江子「うげー凄い、超有名人じゃん!!」 彩「でもね、誰にも言わないで欲しいの……彼にも、迷惑かけちゃうから……」 紗江子「あー確かにね?彼、ファンクラブとかもあって女子の人気凄いもんね、分かった。誰にもいわない」 彩「ありがとう、紗江子」    少し引け目を感じた笑みを浮かべる彩。 N彩「そして私は隼人の恋人になりきった。自分すらも騙して」       体育館 彩「そうだ……全て……私の思い込み……全部嘘だったんだ」    彩はタイムカウンターを見る。残り時間は僅か1分。    ボールを持ち、ゴールを見据える。 彩「ごめんね、隼人……だけど、これでもう終わりだから。」    彩はボールを放り、ボールがゴールの横を弾き、地面に落下し。直地する。(スロー)    彩はゆっくりと目を瞑る。   
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