儚い、恋物語

3/9
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
【飴と鞭】 恋をした。 それが恋だと気付いたのは中学三年の頃だ。 何と言えば良いのか全く分からないが、俺は自分の弟に惚れた。 理由、それは色々あるのかも知れないし、ないのかも知れない。 ただ1つ言える事は俺の弟、恋也は普通じゃないないという事。 俺と似てて、似てない、そんな弟は昔から気味悪がられているのが当たり前で、そんなのを気にしないひねくれた子供だった。 小学生なら誰でもいじめられたくない、と思うが俺の弟は一切そんな事は思いもせず、奇妙な付き合い方をしていたそうだ。 俺は深くまで知らない。 一年経つと性格がすっかり変わるので気味悪がる奴の方が多かった。 化け物だ、いじめられたくないから、変な子だから、可哀想な子だから、多重人格、と適当な理由をつけては俺の弟を避けていた。 俺は全く違う都市、地域に居たので噂でしか知らなかった。 俺たちの両親は事故で亡くなっていて、俺と恋也は別々で引き取られ各姉弟も別々に引き取られる。 計8人という多さの姉弟が居て、俺合わせて4人、恋也合わせて4人、と引き取られた。 俺たち4人は全員同じ家に住んだが、恋也の方は別々で暮らしたそうだ。 そんな事があって、小学生時代は関わりすらなかったが中学で同じ学校になり、恋也と再開して全員で暮らす事になった。 一年違いな俺と恋也で禁じられているがバイトをして、金を貯めて家を買おうとした。 今でも良く覚えてる。 バイトじゃいつまで経っても買えない気がしたのでギャンブルで金を稼いだというのが、俺のギャンブル中毒のキッカケかも知れない。 再開してすぐには会話はなかったが、一緒に住むようになり俺たちは喧嘩などをし始めた。 最初は口喧嘩だったのが次第には暴力までになった事がしばしば。 俺の性格が気分屋というのもあってキレやすい。 些細な事に腹が立ち、恋也を殴った事もよくある。 アイツは何も言わず殴られ続けていた。 それが俺はコイツの上に立っているという快楽に襲われて学校から帰れば、即恋也を殴りに行くのが日課だった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!