はじまりの雨

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自分がめんどくさい人間だという自覚はあったし、なによりも傷つきたくなかった。 無自覚であったとはいえ、過去に散々人を傷つけておいて、今更何を言っているのかとは思う。 けれど、どんなに愚かで人を傷つけた経験のある人間でもやはり自分が傷つくのは別の話で、傷つきたくないと望んでいるはずだ。 できることなら、もう誰も傷つけたくないし、もちろん傷つきたくもない。 オレは、傷つくのを怖れていた。 自分が必要としている人に、不必要だと突きつけられることを― そして、自分が必要としている人が、理不尽に奪われることを―
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