虹の街

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「私の、我が市をLGBT受け入れ先進自治体にするという案が通れば、そういう同性愛カップルのための生殖医療施設を市内に開設したいという提案が来ております。それが実現すれば、市内の雇用創出、経済振興、ひいては税収増につながる可能性もあります」  市議会ではそれ以来、賛否が拮抗するようになった。だが、市民はまだ反対派が圧倒的に多数を占めていた。  話を聞きつけた、都内に本部を置くLGBT支援団体が市長に面会を求めてきた。LGBTの隔離を狙った政策ではないかという公開質問状が市長に届いたのだ。  市長は全国紙、全国ネットのテレビ局、ネットメディアの記者を招いて、その団体との質疑を公開で行った。  市の文化会館で行われた公開質疑で、まずそのLGBT団体の代表である30代とおぼしき知的そうな女性が、真意を質した。 「LGBTは東京都心から出て、この街に住め、という趣旨ではありませんか?」
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