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この、相川さんが口軽そうだから、なんかの拍子にバラしちゃって、問い詰められてるのかもしれないって思ったんだ。
ただ、好きで、付き合ってるだけなのに、問い詰められてるんじゃねぇかって思うのってどうなんだろうって。
で、そうじゃないってわかったら、今度は別のことを考えた。
そうだよな、バレたら、あんなに笑って話してねぇよなって。
「……べっつに」
別に悲観してるわけじゃねぇし、諦めるつもりもねぇけど
玄と俺の恋愛はどこまでも隠してねぇといけねぇのかなって。
ここでなら、もっと出しても、もっと好きってとこを出しても大丈夫かなって思ったけど、んなわけねぇんだって。
場所とか、そういうことじゃなく、男同士って隠してないといけないんだろうなって。
「なんでもねぇよ……」
玄のガキの頃も知ってる叔父さんの旅館で、エロいことしてもいいのかなって、あいつのことすげぇ好きだけど、困らせたりしてんじゃねぇのかって、ふと思っただけだ。
止めるつもりねぇし、諦める気もサラサラねぇ。
ねぇけど、ってなっただけ。
和太鼓サークルの渡辺さんも、このマッチョの相川さんも、そんな全部を経験して、大人になった。
そういう全部を乗り越えた人とでも、別れる日って来るのかなって思っただけ。
男同士で障害多くて、隠さないといけないことだらけで、苦しいことだってあるはずなのに、それでも好きになった。
恋愛した。
でも、やっぱ別れる日とか来るのかもしれない。
どうして、この人、その恋人と別れることになったんだろうって、ふとバカな俺でも疑問に思ったんだ。
「なんも、ねぇよ……」
バカ、だから、俺には玄と別れる日のことは想像できねぇし、引き離されることなんて、意味不明すぎてわかんねぇなって、思ったんだ。
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