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第12話
気がつけば、俺は友香を抱き締めていた。
細い身体が戸惑うように震えている。
俺の胸に頬をつけて、ジッとしている友香。
その腕が俺を抱き締めようとしたときだった。
「いつから、俺が『空』だと気付いてた?」
我に返って、友香を引き離す。
「友香、いつからだ?」
いつから、気付いていたんだよ。
「……空の病室に一人で行ったとき……」
ホクロの位置が違うのだと、友香は言った。
そんな違いに、気付きもしなかった。
「だから、俺から逃げなかったのか」
思わず乾いた笑みが漏れた。
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