771人が本棚に入れています
本棚に追加
あとはスローモーションだった。
久保が彩夏を止めようと手を伸ばすと、鈍く光るものが空間を切り裂いた。
呻き声と共に、鮮血が飛び散って、久保が蹲る。
「ユルサナイ」
地を這うような低い声だった。
ゆらりと立ち尽くす彩夏が何を見ているのか、俺にはもうわからない。
視界の先に、呆然と立ち尽くす友香が映ると
「彩夏、よせっ」
ナイフを振りかざす彩夏から、友香を守ることしか考えられなかった。
最初のコメントを投稿しよう!