第12話

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    最後の力を振り絞って、重たい瞼を持ち上げる。 けれど、視界が霞んで友香の顔がよく見えない。 「陸ッ?」 友香が俺の手をギュッと握り締める。 指先に僅かに感じる友香の温もりが胸に沁みた。 俺が居なくなれば、本当の意味で友香は自由になる。 そう思えば、何も怖くなかった。 出血が多いのか、身体が冷たくなっていく。
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