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「退院したら、二人でゆっくりしたい」
「そうね」
友香は子供をあやすように、俺の頭を優しく撫でる。
「一緒に暮らしたい」
そう言うと、友香はクスリと声を出して笑った。
「短い間だったけど、わたし達、一緒に暮らしていたのよ」
ああ、そうか。
過去にそんな幸せな時間があったのか。
その余韻に浸るように目を閉じると、友香がグイと俺の肩を押して距離を取った。
「陸、もしも記憶が戻ったとしても、これだけは、信じて欲しいの」
緊張を含んだ声色に、何を言うのだろうと友香を見詰めた。
真剣な眼差しが俺を捕らえて、その唇が意を決したようにゆっくりと開く。
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