第12話

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   「……全部、嘘なの?」 「ああ、そうだ」 全部、嘘なんだよ。 友香の愛しい『空』は存在しない。 「そんな……」 今にも崩れ落ちそうな友香に追い討ちを掛ける。 「空のフリをして、何度も友香を抱いたけれど、ただの一度も愛しいと思ったことはない」 「……っ」 俺の言葉を否定するように、首を横に振る友香。 「っ、どうして……」 縋るような瞳に、懺悔の言葉が唇から零れそうになる。 ダメだ。 俺が赦しを請うわけにはいかないのだ。
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