第四章 甘いキスは蜜の味。

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こんなに近くにいるのに、 ううん、こんなに近くにいるから、 苦しくて、 せつなくて、 もっと、もっと、知りたくなる。 社長の形の良い唇が、ためらいなく、私の唇に降りくる。 初めは、優しく。 触れて、すぐに離れる。 真っ直ぐ見上げる視線の先で、社長の瞳に灯るのは、艶を含んだ情熱の焔。 その熱を感じて、私の中で、同質の何かが目を覚ます。 「っ、こら、そんな顔をしてると、本当に手加減できなくなるぞ……」 低い囁きと一緒に、降り注ぐのは、キスの雨。 一降りごとに、深くなるその甘い甘いキスの雨に翻弄されながら、 私は、幸せを、かみしめていた。
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