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「俺からしてもいいけど、その場合、手加減はしないからな」
「て、手加減って……」
どんな手加減ですか!?
「さあ、どっちがいい?」
さすがに手加減なしのキスをすると宣言されては、腰が引ける。
――ああ、もうっ。
女は度胸だ。
いけ、茉莉!
意を決した私は、愉快そうに見つめる社長に顔を近づけていく。
ちょん、と、
唇が、社長の唇に触れた瞬間、
これで、目的達成とばかりに、反射的に身を引こうとした。
でも、逆に、力強い腕に引き寄せられ、その懐に、すっぽりと包まれてしまった。
息遣いさえ感じるほど近くに、
大好きな人の、
そう、自覚したばかりの人の、愛おしい顔がある。
「せっかく、自分から飛び込んできてくれたものを、そう簡単に逃がすか」
耳元に落とされる低い声音に、ただでさえ暴走気味の心臓が、更に加速を始める。
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