第四章 甘いキスは蜜の味。

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「俺からしてもいいけど、その場合、手加減はしないからな」 「て、手加減って……」 どんな手加減ですか!? 「さあ、どっちがいい?」 さすがに手加減なしのキスをすると宣言されては、腰が引ける。 ――ああ、もうっ。 女は度胸だ。 いけ、茉莉! 意を決した私は、愉快そうに見つめる社長に顔を近づけていく。 ちょん、と、 唇が、社長の唇に触れた瞬間、 これで、目的達成とばかりに、反射的に身を引こうとした。 でも、逆に、力強い腕に引き寄せられ、その懐に、すっぽりと包まれてしまった。 息遣いさえ感じるほど近くに、 大好きな人の、 そう、自覚したばかりの人の、愛おしい顔がある。 「せっかく、自分から飛び込んできてくれたものを、そう簡単に逃がすか」 耳元に落とされる低い声音に、ただでさえ暴走気味の心臓が、更に加速を始める。
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