残像

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騒がしい居酒屋の座敷で、思ったより大人数だった。 開発部の男性が数人と美佳と、総務の美佳の女友達数人と、男性陣。 まあそんなかには当然のごとく吉川さんがいたり。 それを見て、あからさまに美佳が鼻に皺を寄せた。 「あの人呼ばないでって言っといたんだけどね、一応」 「やー、でも、彼氏さんにも付き合いってものがあるでしょ」 毎年恒例なのかと思ったら、美佳と美佳の彼氏がいるから縁ができたはじめての新年会らしい。 「え……それって、ちょっと」 「合コンっぽいって言いたいんでしょ、まあその要素もちょっとあるわよ。でも別にそれだけじゃないしいいじゃない。あんたにはもうちょい人付き合いが必要だわ」 ……そう言われると、もっともで反論の余地もない。 美佳の友人は話しやすい雰囲気で、私にも気軽に話しかけてくれて、少ししていた緊張もじきにほぐれた。 ふと見ると、どうせまた女の子のとこにばかり行くのだろうと思っていた吉川さんは、意外にも男性陣の中にいた。
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