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ふと、首をかしげる。
美佳がいつもの駅から来たのなら、降りる場所を見られるわけはないはずだ。
「あれ? 美佳、今日は駅じゃなかったの?」
「私も彼氏んとこから来たから」
そう言って後ろを指さす。それにしたがって振り向くと、スーツの男性と目があった。軽く会釈をして、また前を向く。
うちの開発部の人で当然見たことはあったが、受付であいさつをする程度で、美佳の彼氏として認識したのは初めてだった。
「何それ、人をからかっといて」
「あんたいちいちムキになったりうろたえたりするから、からかわれるのよ」
私をからかう大半である、彼女がそう言った。
「あ、そうそう。彼とね、開発部の人たちと、あと総務とかに私友達がいるんだけど、皆で新年会するの。春妃もおいでよ」
「え……いいの? そんなとこに急に私が出てって」
彼女は私と違って、たくさん友人がいる。
彼女の性格を思えば当然だけど。誰に対しても裏表なく、臆することなく接していて、きっと誰にも好かれる性格だろうとうらやましくなる。
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