1878人が本棚に入れています
本棚に追加
年末年始休暇に入り、大晦日から実家に戻った。
「ただいまぁ」
「あんた、それほど遠いわけじゃないんだからもうちょっと顔見せなさいよ」
帰って早々、母のお小言をいただいたが無理もない。電車と徒歩で30分ほどの距離だというのに、私はお盆休みとお正月くらいしか帰ったことがない。
「駅周辺にはちょくちょく来てるんだけどね。秋生さんの同行支援で」
帰って一番に、仏間に行きお線香を上げる。
仏壇のある壁の上の方に、祖父と祖母の遺影が飾られていて、私はそれを見上げると手を合わせた。
母が私の後に続いて仏間に入ってきて、少し後ろに座りながら言った。
「ほんと、あんたはお祖父ちゃんっ子ねぇ。帰ってきたらいつも一番に仏壇の前にくるものね」
「お祖父ちゃん大好きだもん」
目の見えない祖父に、子供のころからよく着いて回った。
あんなに懐いていたのは、人見知りが激しくて友達のできない私に一番に気付いてくれたからかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!