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「私も知ったのはつい最近なのよ……あんまり知られてはいなかったから秘密みたいだったけど、去年は二人で歩いてるとこ時々見かけたって子がいて」
「……やっぱり、本当なんだ」
缶に口をつけると、あったかすぎるのか外気との気温差なのか、唇がじんじんとする。
「ごめんね、相手あの先輩だし……知らせない方が良いかと思って迷っちゃって」
「うん」
「でも、ほら! 二股とかじゃないしね、過去のことだもの。気にすることないと思うよ」
そこじゃない。
大事なのは、そこじゃなくて……わざわざ余所余所しい空気まで作ってるってことは二人示し合わせてるってことで。
そう考えると、今までのこと全部、思い出して気分が悪くなった。
私が先輩と二人でいる時に、亨が話しかけてきた。
後ろには、私が好きだった矢野さん。
今は、相田先輩の彼氏。
4人で会ってた時、亨の目が時々先輩を追ってるのを見て、私は彼が先輩を好きなんだと思ってた。
『先輩の為に、私を矢野さんから遠ざけようと思ったんじゃないの?』
私の疑問に、亨はなんて答えたっけ。
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