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『考えすぎ。被害妄想激しいんじゃないの』
……本当に?
あの頃の四人の関係が、最初から亨と先輩に仕組まれてたのなら。
頭をめぐるのは、最悪の予測ばかりだ。
亨が相田先輩の為に、私を矢野さんから遠ざけようとして、同時に先輩が矢野さんに近づくチャンスを作ったのなら。
「春妃!」
突然肩を掴まれて、心配そうに顔を覗き込む美佳と目が合った。
「え、なに?」
「なにって……電話、鳴ってるよ」
そう言われて、バッグの中で携帯の着信音が鳴っていることに初めて気が付いた。
「間宮さんじゃないの? 迎えに来てくれるって言ってたんでしょ」
「うん」
取り出して、液晶画面に映る名前はやっぱり亨のフルネームで。
それを見た途端、だ。
ぞわ、と鳥肌が立った。
いやだ、出たくない。話したくない。
この人が好きなのは、一体誰なんだろう。
浴室の、あのシャンプーは?
もしかしたら……。
「やだ。出ない」
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