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「春妃、ちゃんと話聞かないとだめだって。一方的な外野からの話を鵜呑みにするのはダメだって」
液晶画面を見つめたまま、電話に出ない私を美佳が諭すように言うけれど。
「絶対やだ、今は無理」
今だけは、イヤだ。嫌悪感しか、出てこないもの。
冷静になれたつもりだったけれど、全然だ。
ぼたぼたと零れた涙が、画面の上で小さな水たまりを作って、これって防水だったっけとか無関係なことを頭が考え始める。
現実逃避だ。
私が出ないから、直に携帯は静かになった。
けどすぐに、ラインの着信が入る。
『まだ飲み途中?』
ラインを開いて見てしまってから、しまったと思う。
既読マークがついてしまった。
私が見たことを、亨も気付いたはずだ。
「……泣きながらでも、いいじゃんか。ちゃんと話聞きなって。いい機会でしょ、間宮さんのこと、堂々と聞けるチャンスだと思えばいいよ」
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